Loading...

ディレクション本の知識が現場で役に立たない理由

独立する少し前、ディレクションのノウハウが欲しいと思い、ある先輩フリーランサーに相談しました。彼は、

「ディレクションなんて本一冊読めば余裕ですよ」

と断言しました。
ちょっと意外な返答ではありましたが、「とりあえず一冊読んでみよう」と思い、書店でめぼしい一冊を購入し、一通り読んでみました。

その後独立して今まで 、ディレクションで困ることはありませんでした。彼の言う通りだったわけですね。ホントに本一冊読むだけで、Webディレクションのスキルを習得できたのでした。

ディレクションのセオリーは時代とともにちょっとずつ変わるので、折を見て新しいディレクション本に買い換えてはいます。が、いずれにしても一冊です。「一冊で十分」という認識は今なお変わっていません。

本を読んでもディレクションを習得できない人はいる

世に出ているWebディレクションの専門書は、どれも優れていると思います。ディレクションノウハウが詰まっています。あれを読み込めば、十分過ぎるくらいの知識がつくのは間違いありません。

ただ、本で学んだ知識が現場に生きるかというと、その限りではありません。「読んではみたが現場で全く使えない」と感じている人はいるはずです。それもそのはず。Webディレクションの専門書というのは、非常に限られた人を対象に書かれており、半数以上のWebディレクターが、実はその対象外なのです。これに気づいている人は、意外と少ないんじゃないかな。

例えば、Webディレクションの重要プロセスの1つとして、「ヒアリング」というものがありますね。で、このヒアリングの場面において、絶対に確認しなければならないものに、「予算とスケジュール」があります。「予算とスケジュールを聞き出すべきだ」というのは、どのディレクション本にも書かれていることです。

しかし、聞き出せないことがある。
こんな簡単な内容を、聞き出せないことがあるんです。現場では。

さて、そんなときどうするか・・・。

これは、世に出ているWebディレクションの専門書には書かれていません。だから、ここで躓いているディレクターは困ってしまうわけですね。結果的に、「本は役に立たない」という結論になっちゃう。

いい機会なので、はっきりさせましょう。
「なぜディレクション本は現場で役に立たないのか」ということを。

A級案件とB級案件

まず、Web制作案件を「A級」と「B級」の2つに大別しましょう。話はそこからです。

「A級案件」というのは、プロジェクト全体にかける予算が大きく、なおかつクライアント担当者のリテラシーが高い案件です。そして「B級案件」というのは、“それ以外”です。つまり、

  • 予算が少なく担当者のリテラシーが高い
  • 予算が大きく担当者のリテラシーが低い
  • 予算が少なく担当者のリテラシーが低い

これらは3つともB級案件です。
地方のWeb制作案件、もしくは都心でも中小企業を相手にするような案件は、だいたいB級案件に分類されるはずです。

A級のWeb制作案件というのは、都心の大企業が大手広告代理店を介してWeb制作会社に依頼する形が多いです。つまり、制作会社は「下請け」ですね。ほとんどの場合。そこでディレクション業務をやってる人は、“A級案件ばっかりやってる人”ということで、「A級案件の住人」と呼ぶことにします。

で。

Web制作に関わる人間が日本にどれくらいいるのかは知りませんが、そのほとんどがB級案件に携わっている人たちだというのは間違いない。だって、大企業の数なんてそんな多くないでしょ?ほとんどの企業が「中小」なんだから。つまり、ほとんどの人はB級案件ばっかりやってる「B級案件の住人」です。かく言う僕も、モロB級案件の住人です。

本題に戻りましょう。
なぜディレクション本は現場で役に立たないのか?です。
もうおわかりかと思います。

世に出回っているWeb制作の専門書というのは、A級案件の住人に向けて書かれています。 B級案件の住人があれを読んでも、そのまんま役に立つことはありません。

A級案件において、予算とスケジュールをヒアリングできないなんてことはほぼありません。だけど、B級案件では起こりえます。
例えば、資金力のない中小企業がWeb制作に当てる予算は、「なるべく安く」です。リテラシーの低い担当者が引くスケジュールは、「なるべく早く」です。あるいは、「逆にいつ頃できる?」です。

クライアントにそう言われたら、どうすんの?って話。B級案件の住人は、これに回答できなければならない。しかし、これの答えはディレクション本には書かれてない。(笑)

繰り返しになりますが、世に出ているWebディレクションの専門書はどれも優れています。今の僕が読んでも大変勉強になります。読み返すと必ず何かしらの学びを得ることができます。
しかし、そこに書かれているノウハウをB級の現場で実行するには、「もうひと工夫」が必要です。そしてその「もうひと工夫」は書かれていないというわけです。

B級案件のWebディレクションノウハウはどこにあるのか?

ネットの情報も基本的には本と同じです。やはりB級案件には貢献しないモノが多いです。正直、「B級案件のWebディレクションノウハウ」は、簡単には手に入らないでしょう。現場経験の中で自分で培っていくものです。たくさんの経験を経て「もうひと工夫」を掴むのです。

僕がやってるWebディレクター向けの会員制サイトでは、ここに徹底的にフォーカスします。つまり、B級案件の住人のためのWebディレクションノウハウを、体系的に伝えようとしています。
そこで強調しているのはまさにこの「もうひと工夫」であり、多くのWebディレクターが見落としている視点なんですね。

B級案件を回すのに欠かせない内容になるので、興味がある方は是非覗いてみてください。ちなみに、A級案件には生かせない内容だと思います。(笑)

あ、そうそう。
A級とかB級とかいう言葉を使うと、変な捉え方をする人がいるかもしれません。僕は、「A級=いい仕事、B級=悪い仕事」だとは思っていません。個人的にはB級案件のほうが好きです。グルメもB級です。